畳屋さんの仕事としても
少なくなってきた
手縫いという作業を体験。
10時方向に
斜めに入れていくと
まっすぐ刺せる。
この感覚を手で憶える。
大きな針を下から上に通していく。
縫い付ける糸の幅は均等に。
下から刺した針が思ったところに
まっすぐ出てこない難しさ。
大工をやっていると手で憶えるという感覚が、
自然と身についている。
ミリ単位で道具を使い分ける、
職人の美学。
作られていく工程を知ることは、
感謝の気持ちに繋がる。
例えば、使わなくなった着物を畳の縁として再利用する。
使わなくなったけど大切にしたいモノを、
普段から使っているものの一部として使うと
そのモノにもっと深みが増していく。
畳を通して大切な時間やモノを残したり、
増やしたりすることができると思う。
道具を使って技を極める。
畳づくりも大工仕事と
同じ感覚。
畳のある時間を想像すると、
そこにはいい空気が流れていた。
「みんなで畳縁を縫ったね」と、
この1枚にいい思い出が注ぎ込まれた。
使っていくうちに、
時間がゆっくりと流れていた日々を、
畳は後から思い出させてくれる。
畳は、静かにやさしい時間をくれる。
家のどこかに気持ちを落ち着かせる場所って必要だと思う。
慌ただしい日常だからこそ、和室って必要な気がする。
疲れたら、畳の上でお昼寝。
そんな時間も幸せのひとつだと感じる。
家族と、仲間と、一緒に手をかけて
つくった池尾家の畳。
これで池尾家の和室が完成しました。家族で手染めした畳縁は、畳職人の佐野さんとワークショップに参加してくれたみんなのおかげで、無事に畳へと仕上がりました。普段から大工という仕事をしていますが、手をかけて作るものはいいものです。素材のひとつひとつを吟味し、藍染や畳の手縫いなど手作りに触れることで、改めてモノづくり、家づくりの大切さを実感しました。ここに費やした時間がいつしか、こどもたちが成長した時に思い出話になっていることと思います。畳のある暮らし。和室のある暮らし。日本人にとって大切なものが、この和室にあると思います。
畳づくりで繋げたい想い。
畳づくりにおいて、手縫いという方法はこれからなくなるかもしれません。なくなるから残したいのではなく、手縫いという方法を知ってもらうことで、モノづくりの楽しさや難しさとか、できた時の喜びとかを感じてもらいながら、人と触れ合いたい。と語る畳職人の佐野さん。畳がただ部屋に敷かれるものではなく、人と人をつなぐモノとして、畳づくりを通じてできることをワークショップで発信しています。